「見積もりを取ったら、3月に聞いていた金額よりさらに高くなっていた……」
そんなご相談が、ここ最近「くらべる職人」事務局に急増しています。背景には、3月以降止まらない塗料・建材の値上げラッシュがあります。日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研、アステックペイントと、主要メーカーが次々と価格改定を発表し、業界全体が「これまでとは次元の違う」価格上昇局面に入っています。
そして、この値上げの裏側で、もう一つ見過ごせない事実が進行しています。東京商工リサーチの調査によると、2025年度の塗装工事業の倒産は143件にのぼり、過去20年で最多水準(統計開始以来5番目の高水準)に達しました。
「値上げ」と「倒産」が同時に増えているこの状況は、単なる偶然ではありません。むしろ業者選びにおいて、これまで以上に注意が必要な時期に入ったことを示しています。



この記事では、3月にお伝えした原油高騰の続報として、これまでに確定している主要メーカーの値上げ状況と、倒産が増えている本当の理由、そして業者選びで注意すべきポイントを、現場目線で整理してお伝えします。
- 過去20年で最多水準となった塗装業者の倒産の実態
- 主要メーカー各社の値上げ状況一覧
- なぜ値上げが止まらないのか、3つの構造的要因
- 塗装業者の倒産が増えている本当の理由
- 契約タイミング別の費用シミュレーション
- 値上げ前に確認すべき業者選びの注意点
本記事の内容は、2026年6月29日時点で各メーカーが公表している価格改定情報および業界団体の発表に基づいています。値上げの実施時期・幅は今後の原材料調達状況により変更される可能性があります。また費用シミュレーションはあくまで一般的な目安であり、実際の金額は建物の状態や地域、業者によって異なります。正確な金額は必ず現地調査を伴う見積もりでご確認ください。
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日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研も|主要メーカーの値上げ状況一覧
2026年に入り、外壁塗装業界で高いシェアを持つ主要塗料メーカーが、相次いで価格改定(値上げ)を発表・実施しています。これは1社だけの動きではなく、業界全体がほぼ同時期に同じ方向へ動いているのが今回の特徴です。
これまでに確定している値上げの内容
各メーカーが公表している情報をもとに、現時点で確定している主な値上げ状況を整理しました。
| メーカー | 値上げ内容 | 実施時期 |
| 日本ペイント | シンナー 約75% | 2026年3月19日出荷分〜 |
| 関西ペイント | 塗料 30〜50% | 2026年4月1日出荷分〜 |
| エスケー化研 | 水性15〜25%/溶剤20〜30%/粉体10〜15% | 2026年5月11日出荷分〜(溶剤系主力製品は4月21日出荷分から先行実施) |
| アステックペイント | 水性15〜20%/油性15〜25%/シンナー70% | 2026年5月25日受注分〜 |
こうして並べると分かるとおり、「一部のメーカーだけ」ではなく業界全体が同じ方向に動いていることが分かります。エスケー化研は2026年4月7日に価格改定を発表し、原油・ナフサ価格の高騰と原料の納入制限により内部努力のみでの安定供給維持が困難になったとしています。1社が値上げを見送れば顧客が流れる構造のため、追随しない選択肢は事実上ありません。



正直、現場の人間としても、ここ数ヶ月でこれだけ多くのメーカーが一斉に動くのは記憶にありません。下塗りから仕上げまで一通り使う塗料がほぼ全て対象になっているのが今回の特徴です。
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なぜ今、値上げが止まらないのか|3つの構造的要因
- 原油・ナフサ高騰が塗料の原材料コストを直撃
- 歴史的な円安が輸入原料コストにさらに追い打ち
- 塗料だけでなく外壁材・屋根材メーカーも追随
「1社が値上げするのは分かるけど、なぜ業界全体がこんなに一斉に?」と感じる方も多いはずです。これは単純な企業努力の限界ではなく、3つの要因が同時に重なった「複合的な構造問題」だからです。
要因①:原油・ナフサ高騰(続報)
3月の記事でお伝えしたとおり、塗料の主原料である合成樹脂や溶剤は、石油由来の「ナフサ」から作られています。中東情勢の緊迫化を受けた原油高騰が、製造コストの根本を押し上げ続けている状況に変わりはありません。
要因②:歴史的な円安によるダブルパンチ
ここに追い打ちをかけているのが円安です。塗料の原材料の多くは輸入に依存しており、仕入れはドル建てで行われます。原油そのものの値上がりに加えて、円の価値が下がれば、同じ量の原料を買うのに必要な日本円はさらに増えます。
「原油高」と「円安」という2つの逆風が同時に吹いているのが、2026年のこの値上げが過去のどの局面よりも深刻だと言われる理由です。
要因③:外壁材・屋根材メーカーも追随
影響は塗料だけにとどまりません。外壁材・屋根材の大手メーカーも、相次いで価格改定を発表しています。
- アイジー工業:アイジーサイディング・アイジールーフ・アイジーヴァンドの全商品(本体・付属品)を、2026年6月1日出荷分から18%以上値上げ(5月13日発表)。
- ニチハ:2026年6月1日付で「金属製品」「防水部材・アルマ」に関する価格改定のニュースリリースを公表。具体的な値上げ率は商品により異なるため、詳細はニチハ公式サイトをご確認ください。
つまり今回の値上げラッシュは「塗料が高くなる」という単純な話ではなく、サイディングの張替えや屋根のカバー工法を検討している方にも、同じタイミングで影響が及ぶ可能性があるということです。塗装と外壁材リフォームを同時に検討している方は、業者から最新の供給状況を確認しておくと安心です。屋根塗装の費用相場については「【2026年最新】屋根塗装の相場はいくら?費用の目安と内訳をプロが徹底解説」もご参照ください。



「塗料さえ気にしていれば大丈夫」というわけではないのが今回の値上げの厄介なところです。下地の建材から仕上げまで、まるごと影響を受けています。
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【知られざる実態】塗装業者の倒産143件|あなたの工事は大丈夫か
値上げのニュースと並んで、もう一つ知っておいていただきたい数字があります。東京商工リサーチの調査によると、2025年度の塗装工事業の倒産件数は143件にのぼり、過去20年で最多水準に達しています。前年度比22.2%増という急増ぶりで、統計を開始した1989年度以降では5番目の高水準です。
なぜ「値上げ」と「倒産」が同時に起きるのか
一見矛盾するように聞こえますが、実は表裏一体の関係です。東京商工リサーチの分析では、倒産143件のうち8割超(117件)が「販売不振」、資本金1,000万円未満の小・零細企業が133件(93.0%)を占めています。値上げというのは「価格をきちんと上げられた業者」の話。一方で、地域での価格競争を意識しすぎて価格を上げられない業者ほど、材料費の上昇を自社の利益で吸収し続け、資金繰りが悪化して倒産に至っているのが実態です。
- 材料費は上がるが、受注価格は変えられない:「安さ」を売りにしてきた業者ほど、値上げ分を価格に反映しづらく利益が圧迫されます。
- 前払いで受けた工事の材料が確保できない:契約時の見積もりで材料を確保できず、差額を自己負担するケースも増えています。
- 下請け構造の業者が特にしわ寄せを受けやすい:元請けからの支払いが固定されたまま、仕入れコストだけが上がる構造です。
工事中に業者が倒産したらどうなる?
「縁もゆかりもない話」と思いたいところですが、実際に工事の途中で業者が倒産すれば、施主側にも深刻な影響が及びます。
- 工事が中断したまま放置される:足場が組まれたまま、下塗りだけで工事が止まってしまうケース。
- 前払い金が戻らない:契約時に半金以上を前払いしていた場合、その回収は極めて困難になります。
- 保証が無効になる:「10年保証」をうたっていても、施工会社自体が消滅すれば保証は実質的に機能しません。



値上げのニュースだけ見て「早く契約しなきゃ」と焦るのは危険です。むしろ今は、業者選びそのものの慎重さがこれまで以上に重要になっている時期だと思ってください。
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今すぐ動くべき?値上げ前後の費用シミュレーション
「結局、いつ契約すればいいの?」という疑問に、できるだけ具体的にお答えします。以下はあくまで一般的な目安ですが、契約タイミングによる影響の大きさが見えてくるはずです。
契約タイミング別の価格影響(目安)
| 契約タイミング | 価格への影響(目安) |
| すでに値上げ反映済みの業者 | 日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研等の値上げが順次反映され、現時点でも数万円〜の上昇が出ているケースがあります |
| 在庫塗料で対応できる業者 | 値上げ前の在庫がある業者なら、現行価格に近い金額での契約が可能なことも |
| 今後さらに価格改定が反映される業者 | 外壁材・屋根材(ニチハ等)の値上げが反映されると、+10万〜20万円程度上振れする可能性 |
| 2027年以降 | 為替・原油動向次第でさらに上昇する可能性 |
※あくまで一般的な傾向の目安です。実際の金額は業者の在庫状況や地域、建物の条件によって異なります。
30坪の場合、値上げ前後でいくら変わる?
30坪・シリコン塗料の標準的な工事(足場・洗浄・下地処理込み)を例にすると、現行の相場は80万〜110万円が目安です。すでに反映されているメーカーの値上げに加え、今後外壁材の値上げも本格的に反映されていけば、塗料代・外壁材費が上昇した分、同じ条件でも総額が10万〜20万円ほど上振れする可能性があります。
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値上げ前に確認すべき3つのこと|焦って失敗しないために
値上げや倒産のニュースを聞くと、「とにかく早く契約しなきゃ」という気持ちになりがちです。しかし、焦りこそが、業者選びの失敗の最大の原因です。最後に、冷静に判断するための3つのチェックポイントをお伝えします。
①「今すぐ契約」を急かす業者には要注意
値上げの空気感に乗じて、「値上げ前の今だけ」と契約を急がせる訪問販売や営業トークが増える時期でもあります。本当に信頼できる業者は、値上げの根拠(メーカーの公表資料など)を提示しながら、冷静に説明してくれるはずです。即決を迫る業者ほど、慎重に見極めてください。
②倒産リスクの低い業者の見分け方
前章でお伝えした倒産リスクを踏まえると、業者選びでは以下の点を確認することをおすすめします。基本的な業者選びのチェックポイントは「外壁塗装の業者選びで失敗しない7つのポイント」でも解説していますので、併せてご覧ください。
- 建設業許可の有無:一定規模以上の工事を行うための許可制度。経営状況の最低限の指標になります。
- 自社施工かどうか:下請けに丸投げしない自社職人施工の業者は、価格交渉の柔軟性があり値上げの影響を吸収しやすい傾向があります。
- 前払い金の割合:契約金額の半分以上を前払いで求める業者は、資金繰りに不安がある可能性も。前払いは少なめ(または工事完了後の支払い中心)の業者が安心です。
③相見積もりは値上げ後でも取れるのか
「値上げ前に1社だけで即決」よりも、多少のタイムラグがあっても複数社を比較する方が、結果的に総額を抑えられるケースが多いです。値上げ後であっても、業者ごとの在庫状況や企業努力によって提示価格には差が出ます。焦って1社に決めるのではなく、相見積もりという基本は値上げ局面でも変わりません。
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よくある質問
Q. 値上げはもう始まっているのですか?
A. はい、すでに段階的に始まっています。日本ペイントは2026年3月19日出荷分からシンナーを約75%、エスケー化研は5月11日出荷分(溶剤系主力製品は4月21日出荷分)から水性15〜25%・溶剤20〜30%の値上げを実施済みです。今後は外壁材・屋根材メーカーの値上げも反映されていく見通しです。最終的な金額や対象製品は業者・製品によって異なるため、見積もり時に確認することをおすすめします。
Q. 今契約すれば値上げ前の価格になりますか?
A. 業者が値上げ前の在庫塗料を確保できている場合は、現行価格に近い金額での契約が可能なケースがあります。ただし在庫状況は業者によって異なるため、必ず見積もり時に「使用する塗料の仕入れ時期」を確認しましょう。
Q. 倒産しそうな業者をどう見分ければいいですか?
A. 完全に見抜くことは難しいですが、建設業許可の有無、自社施工かどうか、前払い金の割合、ホームページでの施工実績の公開状況などは、判断材料の一つになります。極端に安い見積もりや、過大な前払いを要求する業者には注意してください。
Q. 値上げ後でも助成金や火災保険は使えますか?
A. 制度自体は値上げの影響を受けず利用可能です。助成金は工事費が上がった分、相対的に節約効果が大きくなるとも言えます。詳しくは下記の助成金記事もご参照ください。
まとめ|値上げ前の「今」が最後の判断ライン
2026年に入り、塗料・建材メーカー各社の値上げが段階的に進み、外壁塗装業界はこれまでにない価格上昇局面に入っています。同時に、価格を上げられない業者の倒産も過去20年で最多水準というもう一つの現実が進行しています。
今、押さえておきたい3つのポイント
- 値上げは塗料だけでなく外壁材・屋根材にも及んでいる(アイジー工業18%以上、ニチハ等)
- 業者の倒産リスクが高まっている今、安さだけでの即決は危険
- 焦って1社決めではなく、相見積もりで「内容」と「信頼性」を確認することが結果的に一番安全で安い
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原油高騰の背景や基礎知識については「【2026年最新】外壁塗装の値上げはいつから?原油高騰で塗料価格が急上昇する「3つの論理的理由」と賢い自衛策」でも詳しく解説しています。



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